しゃぶしゃぶや豚汁を作っていると、
「この白っぽい泡みたいなの、何?」
と思ったことはありませんか?
いわゆる「アク」です。
豚肉を茹でるとアクがたくさん出ることもあれば、思ったよりほとんど出ないこともあります。
「アクが出る豚肉は良くないの?」
「アクが少ない方が美味しいの?」
そんな疑問を持つ方もいると思います。
こんにちは。宮崎県で豚を育てている養豚家の小野友也です。
今回は、**豚肉のアクはなぜ出るのか?**について、できるだけ分かりやすくお話しします。
そもそも豚肉の「アク」って何?
豚肉をお湯に入れると、表面に白や茶色っぽい泡が浮いてくることがあります。
これが一般的に「アク」と呼ばれているものです。
肉に含まれるタンパク質などが加熱によって固まり、脂や肉汁由来の成分などと一緒に表面へ浮かんできます。
なので、まず知ってもらいたいのは、
アクが出ること自体は、おかしいことではありません。
豚肉を加熱すれば自然に起こる現象です。
じゃあ、なぜアクの量が違うの?
同じ豚肉でも、
「今日はアクが多いな」
「この豚肉、あまりアクが出ないな」
と感じることがあります。
アクの出方には、肉そのものだけではなく、肉の状態や調理条件など複数の要素が関係します。
① 肉から出たドリップ
豚肉のパックを見ると、赤っぽい水分が出ていることがあります。
これを「ドリップ」といいます。
ドリップには肉から出た水分やタンパク質などが含まれています。
そのため、ドリップが多く出た肉をそのまま鍋に入れると、加熱したときにアクとして見えやすくなることがあります。
冷凍肉の場合は、解凍方法によってもドリップの出方が変わります。
以前の記事でも紹介しましたが、
冷凍豚肉は冷蔵庫でゆっくり解凍する
のがおすすめです。
② お湯の温度や調理方法
実は、同じ豚肉でも調理の仕方によってアクの見え方は変わります。
強火でグツグツ沸騰させ続ける場合と、適度な温度でしゃぶしゃぶする場合では、鍋の状態も違います。
つまり、
「アクの量だけで豚肉の品質を判断することはできない」
ということです。
ここは養豚家としても、誤解してほしくないところです。
アクは取った方がいいの?
アクが出ても、必要以上に神経質になる必要はありません。
ただ、豚汁や鍋などではアクを取り除くことで、
スープが濁りにくくなり、雑味を感じにくい仕上がり
にしやすくなります。
お玉やアク取りで、表面にまとまってきたものを軽く取る程度で大丈夫です。
アクを取ることに夢中になって、
「しゃぶしゃぶの肉、煮すぎた!」
となったら本末転倒です(笑)
「アクが少ない豚肉=美味しい豚肉」なの?
ここは大事なところです。
アクが少ないから、必ず美味しい。
アクが多いから、品質が悪い。
とは言い切れません。
アクの出方には保存状態、ドリップ、調理方法など、さまざまな条件が関係するからです。
だから僕は、豚肉を見るときにアクの量だけで判断するのではなく、
香り、脂の口当たり、赤身の旨み、柔らかさなどを含めて「美味しいか」を考えることが大切
だと思っています。
「命の恵」をしゃぶしゃぶしたときに気づいたこと
僕たちが育てている豚肉「命の恵」を食べてもらった方から、
「アクが少ない気がする」
と言っていただくことがあります。
僕たち自身もしゃぶしゃぶなどで食べる中で、アクの出方は確認しています。
ただ、
「命の恵はアクが少ないから良い豚肉です」
と言いたいわけではありません。
僕たちが一番届けたいのは、その先です。
僕が特に食べてほしいのは「脂」
命の恵を初めて食べるなら、ぜひ脂の部分まで一緒に食べてみてください。
豚肉というと、
「脂っこそう」
「脂身は残してしまう」
という方もいると思います。
でも僕たちが目指しているのは、
脂まで食べたくなるような豚肉。
しゃぶしゃぶにして、
赤身と脂を一緒に口へ入れる。
そこで、
「思ったより重くない。」
「もう一枚食べたい。」
そう感じてもらえる豚肉を届けたいと思っています。
アクの少なさだけではなく、食べ終わったときにどう感じるか。
僕はそこを大切にしています。
一番分かりやすいのは「しゃぶしゃぶ」
もし命の恵を初めて食べるなら、僕がおすすめしたいのはしゃぶしゃぶです。
シンプルな料理だからこそ、
肉の香りも、
赤身の味も、
脂の口当たりも、
分かりやすい。
鍋を家族で囲みながら、
「この豚肉、いつものとちょっと違うね。」
そんな会話が生まれたら嬉しいです。
アクを見ることも、豚肉を知る一つのきっかけ
普段何気なく取っている「アク」。
でも、
「そもそもこれって何なんだろう?」
と考えてみると、豚肉について知るきっかけになります。
僕たちは豚を育てて終わりではなく、
その豚肉が皆さんの食卓に届いて、美味しく食べてもらうところまで伝えていきたい。
それが「命の恵」でやりたいことです。
次にしゃぶしゃぶをするときは、ぜひ鍋の中もちょっとだけ見てみてください。
そして最後はアクよりも、
家族の「美味しい!」を見てもらえたら嬉しいです。